ADK 卵生メダカ飼育マニュアル

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卵生メダカの飼育について ~これからメダカ飼育する方へ~

卵生メダカ。卵生目高。卵目(らんめ・らんもく)

 熱帯魚の中では飼育が難しいと良く言われています。これは特殊で独特な環境に生息するメダカ達なので、一般的な熱帯魚を飼育する感覚とは少し異なる部分が有ります。大変多くの卵生メダカの仲間が居ますが、その中でも飼育が楽な種類と、とても難しい種類が有ります。一般的な熱帯魚店・ショップでは、あまり数多くが販売されることもなく、極少数の養殖された種類や、少数のワイルド便がたまに入荷する程度になります。これらは比較的丈夫で増えやすい種類になるのかもしれません。稀にブリーダーの増やした個体が出回ることも有りますが、なかなか一般的なショップで見る機会は少ないことでしょう。もしショップでメダカ達を見かけても状態が悪かったり、雌雄のペアが揃っていないことも多く有ります。状態の良い個体を見かけたらまずは入手してみましょう。やはり日本国内で愛好家の手によって増やされた個体は飼育も格段に楽になると思います。そして他の熱帯魚と同じような感覚で飼育してみて下さい。これまでに熱帯魚を飼育したことのある方で有れば、飼育自体はさほど問題無くいくと思います。しかしある時期を境に状態を悪くして落としてしまうことが出てくることでしょう。それが他の熱帯魚とは飼育方法が異なる部分ではないかと思います。

そのいくつかを例に挙げてみると。

 1.水温は一般的な熱帯魚と比べて低めを好む種類が多い。(主にアピュオセミオンやアウストロレビアス属など)
 2.水質の悪化に弱く、前触れも無く落ちてしまうことが多い。(原因不明で落ちる。※大半は水質や水温から起因する。)
 3.人工飼料にあまり慣れず、生き餌が主食となる。
 4.繁殖形態が独特な種が有る。(主に年魚)
 5.孵化させるまでに休眠保管が必要な種が有る。(年魚)
 6.孵化させるのに独特な作業が必要な種が有る。(年魚)
 7.孵化させてもスライダーが出る。(主に年魚)
 8.産卵し孵化しても親が一緒の場合は食べてしまうことが有る。
などなど。

これに対して一般的な熱帯魚飼育と同様の部分も有ります。
 1.ほったらかしで増える。(非年魚の一部)
 2.熱帯魚と同じ水温帯でも問題ない。(エピプラティス属など)
 3.人工飼料にも慣れる。(エピプラティス属など)
 4.水質悪化にも比較的丈夫。
などなど。しかしそれは初級魚と言われる比較的飼育が簡単な種類に当てはまる部分で有り、卵生メダカの仲間の中ではあまり多くは有りません。簡単な種類と言われていても、実際に飼育すると難しいことが有ります。またこの逆で難しいと言われる種類が簡単に増えてしまうことも有ります。やはり飼育してみないと、各自の環境・管理方法により飼育の簡単さ、難しさは変わってくると思います。

 卵生メダカの仲間は大変種類が多く、一種類だけ考えてもロケーション(産地)なども有り、多種多様です。生息している国々も気候が様々で有り、全てが同じような飼育方法が良いとは限りません。それぞれその種類によって良いと思われる環境作りが必要となります。そしてその「良い」と言われる環境は、各自で実際に飼育しながら見つけるしか方法が無いと言われています。いくら雑誌やインターネットで情報を見聞きしても、各自の水槽の中外はその情報と同じようにいくとは限りません。また飼育者のペースによっても様々です。
 まずはそんな卵生メダカ達を飼育する前に、一般的な熱帯魚とは飼育方法に異なる部分が有ると言うことを、頭の片隅にでも置いておいて下さい。そしてまずは何事も試してみましょう。失敗しても何度でも再挑戦することが、上手に卵生メダカを飼育することに繋がって行くと思います。諦めずに頑張ってみてください。卵生メダカの飼育は難しくは無いと思いましょう。難しいと思えば思うほど、水槽に手を加えたり、普段とは違ったことをしたりしてメダカ達を飼育者自らがダメにしてしまうことも有ります。基本を忘れずに飼育していきましょう。

 卵生メダカには大まかに非年魚(複数年生きて、産卵から孵化まで水中で良い種類)と、年魚(およそ一年で寿命。卵は休眠期間が必要で乾燥させる作業が必要)の二種類有ります。もちろん例外的な種も居ますが、ここではこの二種類で説明していきたいと思います。

【非年魚】
アフリカに生息しているアピュオセミオンの仲間や、エピプラティス、プロカトープスやアプロケイリクトゥス(光物と呼ばれる)や、インドなどの東南アジアに生息するアプロケイルス(これも光物と言われる)など。南米のブラジルなどに生息するリウルスもこのグループに入ります。北米産のフゥンドゥルスやルカニアなども同様。およそ2年から4年、長いものでは5年ほどの寿命が有るとされています。しかし飼育下では完全に寿命まで長生きさせれることは難しく、多くは2年~3年程度になることが多いです。繁殖は水中の水草などに産み付けられた卵が、およそ2~3週間で孵化をします。親ペアを飼育している水槽に、いつのまにか小さな稚魚が泳いでいたと言うことが有ります。

【年魚】
 アフリカに生息するノトブランキウスや、南米のシンプソニクテュスなどのグループです。南米大陸に生息する卵生メダカはリウルス属が非年魚で、他のほとんどの種類が年魚になります。寿命は一年程度とされていますが、飼育下では一年もたないことが多いでしょう。卵から孵化して生まれてから、およそ3ヶ月から半年の間で産卵可能な成魚となります。年魚の最大の特徴で有るのが繁殖形態で有り、卵に乾季の状態(乾燥、休眠期間)が必要なことです。土中に産みつけられた卵が乾季によって水が無くなっても、次の雨季により水に漬かることによって孵化すると言うものです。飼育でもこの乾燥させる作業が必要になり、種類によって(産地によって)休眠させる期間が異なります。飼育下では主に良く煮たピートに産卵させて、そのピートを回収して保管(休眠保管)します。

また、世界の地域で分類されることもあり、アフリカ産非年魚、アフリカ産年魚、アジア産、北米産、南米産非年魚、南米産年魚などと分かれます。それぞれに特徴が有りますので、気になる方は調べてみましょう。

まずはメダカを導入する前に次の準備をしましょう。(非年魚・年魚とも)

1. 飼育水槽の準備は出来ていますか?
     導入にあたって、飼育水槽の準備は済んでいますか?飼育するメダカ達がどんな種類か調べましたか?
まずは飼育するメダカ達がどのようなタイプの卵生メダカなのか知りましょう。非年魚と年魚では飼育方法自体は共通する部分も有りますが、産卵形態が異なります。それと大体の適水温と最大サイズを調べておきましょう。
 種類によっては大きくなる卵生メダカも居ますので水槽のサイズにも注意が必要です。5cm程度のメダカ達なら最低でも30cm水槽を2つほど準備しましょう。稚魚用や一時避難用にフタの出来るプラケースも必要になります。まずはアクリルの物よりもガラス水槽をメインとして飼育水槽としましょう。小さいメダカ達ですが大きい水槽に越したことは有りません。置くスペースに余裕が有ればできるだけ大きな水槽にして下さい。ここで言う大きな水槽とは、非年魚の場合、背が高いものは必要なく、横幅・奥行きの底面積が広い水槽のことを言います。背の低いランチュウ水槽でも良いでしょう。まだ準備していない方は、大きめのプラケースでも構いません。そして種水も準備しておきましょう。衣装ケースやポリタンクなど、水槽の水量よりも倍ほどの容量が確保できれば後々楽になります。もちろんメダカを飼育する水槽以外の大きな水槽でも結構です。フタも忘れずに。
 飼育水は蛇口をひねって出たすぐの水道水(生水)は使用しないで、3日以上バケツや水槽に汲み置きした水を用意してください。できればエアー(スポンジフィルターや水作等、何でも構いません)でポコポコと回してください。有れば水草(浮き草)も一緒に入れて回しておくと良いでしょう。ただし植えるタイプの水草ではなく、水面に浮かべるタイプが良いでしょう。ウォータースプライト、ベトナムスプライト、ウィローモス、サンショウモなどが使いやすいです。その数日回した水を【種水】と言います。この種水を水換え時に毎回使用していきます。
 飼育水槽は底に砂は入れなくとも卵生メダカの飼育には不都合有りません。俗にベアタンクと呼ばれるものです。少数の浮き草タイプの水草と、フィルター(スポンジや落とし込みタイプで外掛け式、上部式は避けましょう)をセットし、種水で数日間回しておきます。もし種水が用意できない場合には、すでに他の状態のよい水槽(水草水槽)が有れば、その水を使用してください。
 その他、必要と思われる物も用意しておきましょう。毎日与える餌やピートなど。ピートには種類が有りますが、まずは熱帯魚ショップで売られているものでも構いません。理想は卵生メダカ専門ショップで売られているもので、これは卵生メダカに合うようなピートなのでお勧めします。購入したら必ず良く煮て、水を張ったバケツに漬けておくか、乾燥しない程度に水気を切りビニール袋などに入れて保管しておきましょう。
 水槽の置き場所は、なるべく静かな場所。メタルラックなどは良く揺れるので、揺れない工夫が必要です。地震対策も必要です。日光が当たる場所ではアオコが発生してグリーンウォーターになることが有ります。少しの日光は良いですが長時間は当たらない場所にしましょう。あと、照明やエアーポンプを使いますので、コンセントが必要ですが、水を扱うだけに漏電したり、ホコリをが溜まらないよう注意しましょう。 
2. 水温は適切でしょうか?
     季節によって室温が高い場合と低い場合が有ります。種類によって適切な水温が変わりますが、アピュオセミオンなどの非年魚、アウストロレビアス属は、概ね22℃から24℃位で調節してください。エピプラティスや年魚のノトブランキウス、シンプソニクテュス等は25℃程度で良いでしょう。
 夏場は27℃以上になると注意が必要です。メダカの種類によっては危険な場合も有ります。冬場に関しては20℃ほどまでは大丈夫な種類が多く、室温がこれくらいの温度ならば加温も必要無い場合も有ります。それぞれ飼育する種類の適温を調べておくと良いでしょう。一般的な熱帯魚と違い、低い温度を好む種類が多いことに注意しましょう。 

メダカの導入。非年魚編

1. 水温合わせをしてください。
     ショップで買った場合などビニール袋に入ってることでしょう。大抵は雄と雌で分けられて梱包されていると思います。それぞれメダカの入ってる袋のまま、まず室温に慣らせます。30分から一時間ほど水槽の側に置きそのまま待ちます。決して照明器具の近くには置かないこと。大変水温が上がり危険です。
2. 水合わせをしてください。
     袋の魚を別の容器(プラケース1~2L位など)に移し、エアチューブと一方コック等を使って飼育水槽の水を少しずつ(ポタポタ垂れる程度の量)滴下して、最初の水量の倍(プラケの底に3cmほど水が有るのならば6cmほどまで)の量になったら、一旦止めて魚の様子を見てください。異常なければさらに半日から翌日にまた同じ量(3cmから6cmになっているなら、また3cm分を足す)を入れて待ちます。またさらに水を足してプラケース一杯になるまで水を入れます。そして問題なければ飼育水槽にそっと入れて下さい。途中で様子がおかしかったら、その日の水合わせは中止し、翌日同じ事をしてください。その時は、水温変化を少なくする工夫が必要です。
なおメダカは良く水槽外に飛び出すことが有ります。水合わせ中でも、普段の飼育でも、少しの隙間からでも出ることが有りますので、きちんとフタをするように注意しましょう。難しいと言われる種類ならば、この水合わせを一週間以上掛けた方が安全でしょう。その間はストレスが溜まらない様に水草を入れたり、暗くしても良いでしょう。 
3. 餌の準備。
     餌は、通常ブラインシュリンプを主食として、メダカの大きさに合わせて給付します。大きな成魚ならば冷凍赤虫をメインに与えても良いでしょう。ただし始めは少量づつ与えてください。もし餌が残るようならスポイトで吸い出してください。水の汚れる原因になります。
 ブラインシュリンプは塩水で孵化させる必要が有ります。セットしてから翌日まで待つことになりますので、あらかじめ準備が必要となるでしょう。メダカの導入前日にセットすれば良いと思います。
導入初日は餌を与えず、水合わせが終わり落ち着いてから与えてください。落ち着いてない状態だと餌を入れても食べずに水が汚れる原因となります。
 ブラインシュリンプは毎日と言って良いほど必要になりますので始めは大変ですが、慣れれば日課となり辛いものでは有りません。メダカ達の為に頑張ってセットしましょう。入手が楽な人工餌を使いたいと思いますが、卵生メダカの多くはあまり食べてくれません。また水を汚す原因ともなりますので、ブラインシュリンプと冷凍赤虫に慣れましょう。
4. セット。
     水合わせが出来たら、プラケの水ごとメダカを水槽にそっと移します。事前に水槽内にフィルターや水草を入れてセットしておきましょう。水量が足らないときはまた種水をチューブなどを使いゆっくりと足しましょう。フィルターから出るエアーの量をポコポコとなる程度に調整します。フタを忘れずに。照明は水草が枯れない程度の光量にしましょう。できるだけ暗めの方がメダカ達にとっては良いですが、あまり暗くすると中の様子が観察しにくいです。
 とりあえずはこれで飼育できる状態になっていると思います。しかしこれからの1週間から2週間の間は注意が必要です。まだメダカ達はこの環境に慣れていません。水にも完全には慣れておらず、原因不明の突然死も起こることが有ります。また隠れてばかりで前に出てこないことも有るでしょう。いくらメダカの姿を見たくても、ここはしばらく我慢しましょう。導入から2週間経ったら水換えをし、また様子を見ます。餌は少なめに与え、メダカ達を驚かすような物音を立てたり、水槽が揺れるような状態は避けましょう。飛ぶことの有る種類では、この時期が一番飛びやすいと思います。かならず隙間が無いようにフタをしておきましょう。
 しばらくしてメダカ達も慣れてくると前面に出てくることも多くなっていきます。もうその頃には成魚で有れば綺麗な色彩を見せてくれると思います。

その後の管理。

1. 水温管理と餌やり、日々のメンテナンス(水換え)をしてください。
     魚によって餌の食べる量が違うので、始めは極少量から与えてください。数分で食べきれる量を把握しておくと良いでしょう。しかし大食漢のメダカでは、目の前に有るだけ食べてしまい、水槽の底から上がれないほど食べすぎてしまうことが有ります。こうなると病気になったり調子を崩すことが有ります。腹八分目にしておきましょう。できれば一度に沢山与えるのではなく、数回に分けて与えるのが良いです。理想は朝・昼・晩と三度に分けて与えると良いでしょう。個体のサイズによって餌もブラインや冷凍アカムシとサイズを変えて与えましょう。様々な餌が有りますが、毎日与えられる物にした方が楽だと思います。生き餌が手に入る状況で有れば良いですが、コスト面でも高く付きますし、日持ちしないものが多いです。飼育を始めて間もない方は、無理せずにブラインと冷凍アカムシだけにしましょう。あれこれと餌を追求するのも良いですが、結局は手頃に入手できて毎日与えられる餌が一番だと思います。
 もし餌を入れても奥に隠れたままで前に出てきて欲しがらない時は、1日餌を与えなくても良いです。慣れないうちは、与えすぎより少なめが長生きさせるコツです。一週間に一度は餌抜きでも構いません。食べないのであれば無理に与える必要も無いです。元気で有れば前に出てこなくてもこっそりと食べていることでしょう。そのまま飼育し、元気の良いペアなら繁殖も難しくないと思います。非年魚のアフィオセミオンなどは水草を多く入れておくだけでも稚魚が自然に孵化をして増えることが有ります。
 水換えは一週間に一度半分~3分の1か、最低でも二週間に一度は行ってください。遅くとも三週間で全量が入れ替わる程度が良いでしょう。卵生メダカの飼育では、なにわともあれ水換え水換えです。異常を感じたらまずは水換えして様子を見ましょう。特に暑い夏では水も汚れやすくなります。なるべく短い間隔で水換えしましょう。水換えは水槽の底部分の水を、静かにホースなどで吸い出します。このときに、水をかき回さないようにしてください。底のゴミを吸い出す感じが良いでしょう。毎日のように頻繁に水換えが出来るのであれば、底の部分のゴミだけ吸い出して足し水するのが良いでしょう。もしガラス面にコケが付くようでしたら、栄養過多になっています。エサが多い、水換えが少ない、種水が安定していないと思われます。コケがひどくなったら、メダカを他の容器に移し、水槽を丸洗いしましょう。あまり強くこすると水槽に傷が付く場合があります。水槽を扱うときは落としたりして怪我をしないように注意しましょう。コケについては多少は気にせずとも大丈夫ですが、藍藻が水面に広がっていくようなときは注意が必要です。このような時はリセットしましょう。
 あとは日々の観察です。メダカの様子、水の色、入れた餌や水草の状態などを毎日観察します。少しでも異常を感じたら水換えしましょう。特にメダカがヒレを畳んで元気が無いときは、その時点ですぐに水換えしましょう。この状態を見ていなくて、しばらくしてから気付いても時遅しの場合が有ります。順調に飼育ができれば稚魚も増えて次世代に続くことでしょう。稚魚が増えたら水槽を増設していきましょう。
2. 産卵・繁殖。
     導入時のサイズによって産卵をし始めるまでの期間が異なりますが、成魚のペアで有れば、導入から順調に数週間から数ヶ月経つと、雌のお腹に卵が透けて見えると思います。非年魚の多くは3年から4年ほどの寿命が有りますので、生まれてから一年近く経たないと産卵しない種類が多いと思います。もちろん種類によっては餌の量や水温などの環境で半年越えたあたりから産卵可能となる種類も居ます。しかし飼育し始めたばかりの方達ほど早く繁殖させたいと思うことでしょう。でも焦らずに気長に待つのが非年魚飼育の基本と思って下さい。
 意図的に多く卵を取りたい場合は、前提として雌が良く卵を持つ状態にしなければいけません。そうなるように環境を整えることが必要になります。定期的な水換えと餌の量、雄との喧嘩のし具合など。様々な要因が有りますので、なかなか大量に稚魚を意図的に増やすのは難しいと思います。
 まずは自然繁殖から目指しましょう。その次に卵を取っていく方法に移るのが良いと思います。卵を取るには毛糸で作ったモップを入れたり、良く煮たピートを水槽内に沈め、定期的にそれを取り出して卵を確保していくのが良いでしょう。まずは初級種と言われる種類で、実際にモップやピートを入れて卵を取ってみましょう。コツが判れば驚くほど簡単に卵が取れ、稚魚が沢山得られることでしょう。非年魚の多くは産卵後、2~3週間程度で孵化をします。
3. 稚魚の育成。
     自然に親ペアの居る水槽内で稚魚が増えたら、そのままにしておくのも良いです。ただし種類によっては稚魚を食べてしまったりします。またある程度の稚魚の数が増えたら、親ペアが産卵を止めてしまうことも有ります。その場合は稚魚を全て取り出し、他の水槽で育成しましょう。稚魚が多く取れたときはケースの大きさに注意しましょう。小さいケースでの過密飼育は水質の悪化が早く、失敗すると全滅する恐れが有ります。大きめのケースにしたり、いくつかのケースに分散させるのが良いでしょう。
 餌はブラインシュリンプを主に与えますが、2センチ近くなれば冷凍アカムシを小さく刻んだものを与えるのが良いでしょう。冷凍アカムシを食べだすと成長速度も早くなります。
4. 卵から孵化させて稚魚を育成する方法。
     モップで卵を取る方法は、まずは産卵開始した親ペアの水槽にモップを沈め、2週間毎にモップを取り上げて卵を収拾します。モップはアクリル100%の毛糸を使います。束ねて長さを揃えて縛って作ります。上側になる先端に浮きを付けたりするのも良いでしょう。毛糸の太さや長さ、色などは、色々と試してみて、どのようなモップにすれば卵を産み付けてくれるのかを研究してみて下さい。
 モップを水槽から取り出したら、水が垂れないようにバケツなどで受けておきます。良く水気を力を入れて絞ると雑誌に書かれていることもありますが、種類によっては卵が潰れやすくお勧めしません。自然に水が抜けていくように工夫して置いておいたり、慎重に軽く上から絞るのが良いでしょう。慣れないうちは水気を切らなくても卵は見つかると思います。ただし毛糸の色によっては卵が見つけ難いこともあります。
卵を見つけたら、ピンセットで下から掬うように取り外しましょう。潰れやすいので慎重に。小さいカップやプラケに飼育水を入れて、そこにピートを少しだけ入れておきます。その水中のピートに卵を付けていきます。そのま2週間ほど待つと卵に眼もでき、しばらくしたら孵化して稚魚が浮いていると思います。慣れた方は湿ったピートの上に卵を並べて置き、孵化近くなったら水没させる方法も有ります。始めは水中のままで孵化させることに慣れると良いでしょう。
 ピートを沈めて卵を取り上げる方法は、沈めていたピートを水換え時にホースなどで吸い出してしまいます。このときにバケツの上にネットを置き、そのネットにホースから出る水ごとピートを受けておきます。ネットに集まったピートを飼育水を入れたプラケースに移し、稚魚が浮いてくるのを待ちます。これもピートを沈めてから二週間後に取り上げるのが良いでしょう。これを繰り返していくと沢山のプラケースから稚魚が取れると思います。もちろんモップやピートを取り上げず、そのまま自然孵化用の産卵床として使うのも有効です。モップ、ピートで卵を取る方法では、必ず水換え時に取り出すのが良いでしょう。
5. その後の管理。
       稚魚が取れたら後は親と同様の管理方法で飼育します。非年魚は寿命が長いので、とにかく焦らずに飼育していけば、そのうちに稚魚も増えると思います。最大の問題は夏場の高温になる時期をいかに過ごすかです。この時期は卵を取ることもせず、涼しくなるまで耐えましょう。エアコンの有る涼しい部屋で低い水温を保てる状況が有れば言うことはありません。
 非年魚の飼育は我慢の飼育と言われます。成長も年魚に比べても遅く、導入後でもなかなか稚魚が取れないことも有ります。焦らずにがんばって維持を続けましょう。

メダカの導入。年魚編

 1. 飼育水槽の準備は出来ていますか?
       年魚の導入では成魚で入手した場合と、卵から入手した場合とで異なります。成魚から入手された場合の導入方法は非年魚とほぼ同じと思っても良いでしょう。成魚の雌が既に卵を持っている場合には、水槽をセット直後から良く煮たピートをガラスの器などに入れておきます。このピートについては繁殖の項を参照。基本的な水槽のセット方法は年魚と同様で良いでしょう。ただし年魚の場合はピートを入れる必要が有り、種類によってピートに深く潜って産卵する種類(ピートダイバー)が居ます。水深を確保しておきましょう。
 卵から導入する場合、まずは孵化予定日付近に卵が孵化可能な状態であるかを知る必要が有ります。種類によって休眠期間が異なるので入手先に聞いておくのが良いでしょう。基本的には1ヶ月ごとに卵の様子を見るのが良いと思います。卵は産卵直後は透明ですが、休眠期間に入ると発生が進み、孵化予定日間近になると眼が確認できるようになります。眼の周りには金色の輪(金環)が出来て、全体的に黒味を帯びた色に変わってきます。この色についても種類によりますが、ノソブランキウスなどでは卵全体が黒く、眼もクッキリと見えると思います。この状態になったら孵化させましょう。コップやプラケースなどにピートごと卵を移します。そこに飼育水を入れて軽くかき回します。上手くいけば数時間から翌日には稚魚達が浮かんでいることでしょう。この水に漬けることを、ここでは「漬ける」や「儀式」と言います。この儀式にも注意点が多く、失敗すると稚魚が出こなかったり(漬けるタイミングが早い)、稚魚が出たとしても、上手く泳ぐことが出来ないスライダーと言う状態になります。儀式に使う水の水温や、漬けるタイミングに注意が必要で、これは各自経験を積まないと難しい部分です。初級種と呼ばれる種類ほど、この儀式が楽で有り、問題無く多くの稚魚が浮いてきます。難しいと言われる種類ほど、この儀式方法によって上手く行くか失敗に終わるのかが左右されます。もし初めて儀式する方は、浮いた稚魚を見て感動すると思います。これが年魚飼育の醍醐味です。
 卵を儀式して稚魚が上手く浮いたら、ひとまずは成功です。そのままプラケースで育成しますが、必ずと言って良いほどブラインシュリンプの幼生が必要です。大変メダカの稚魚は小さく、この餌やりの仕方によって成長速度に差が出ます。大半が人工飼料を口にしません。儀式すると同時にブラインシュリンプを孵化させておき、メダカの稚魚が浮いたらブラインを与えます。稚魚が餌を取り始めたら1ヶ月もすると1cm近くなっていると思います。その間は水質を悪化させないように、ブラインを入れすぎないように注意しましょう。2週間に1度、細いチューブなどを使用し、底のゴミを取るように水換えもしましょう。1cmを越えるほどになったら、そろそろ広い水槽に移しましょう。
2. 水温管理と餌やり、日々のメンテナンス(水換え)をしてください。
     年魚の管理も基本的には非年魚と同じと思って良いでしょう。ただし産卵床となるピートが入っている場合は交換する作業が出てきます。このピートの回収については繁殖の項を参照。また非年魚よりもいくぶん高めの水温が良いでしょう。夏場でも元気な種類が多いですが、30℃を越えるような時期は注意が必要です。水温が高いほど水質悪化も早くなり、餌の量や水換えに気を配りましょう。特にアウストロレビアスの仲間は25℃の水温でも高いほどで、維持が困難になります。このように夏場の維持が難しい種類では、成魚飼育を諦めて卵の状態で夏を越す方法も有ります。またこのような種類で有っても、稚魚は比較的丈夫なので、孵化のタイミングを合わせて稚魚として夏を越す方法も有ります。やはりエアコンで涼しくするのが良いでしょう。
 年魚の成魚で注意することは、出来物が体にできてしまうことと、突然のスライダーによって落としてしまうことです。出来物(腫瘍)は病原菌によるものとされ、原因や治療方法は良く判っていません。体の外側に白いブツブツが出来たり、内蔵が腫れてしまいそのまま落ちていくことが有ります。これらは水の悪化や餌の与えすぎによる太りすぎが原因と思われるものと、感染して広がる病原菌のタイプが有ると思います。体の外側に出来る腫瘍はすぐさま落ちてしまうと言うこともなく、産卵も可能な場合が有ります。対して内蔵に出来てしまったものは産卵も出来ない状態です。残念ながら対処のしようも有りません。いずれにしても水槽内を清潔に保ち、定期的な水換えと餌の量に注意して病気の予防に努めましょう。
3. 産卵・繁殖。
     年魚の繁殖では産卵床となる場所が必要です。底砂よりも良く煮たピートに産ませて回収するのが良いでしょう。ノソブランキウスではピートに深く潜ることはなく、ピートも浅めの器に入れておきます。南米産の種類はピーダイバーが大半であり、体長程度の深さ・ピートの厚みが必要となります。ガラスのコップなどを使うのが良いでしょう。順調に飼育ができ、孵化から数ヶ月で繁殖可能になれば雄が雌を誘ってピートに卵を産む風景が見えると思います。ピートダイバー種では雌雄がピートに潜るのが見えることでしょう。産卵していることが判れば、後は卵を回収します。1ヶ月に1度でも良いですし、数ヶ月に1度でも良いでしょう。沢山産む種類では回数多く取り替えると卵が多く取れすぎてしまいます。卵の取りすぎは後から大変です。大量に孵化した稚魚の管理は大変ですので、10個程度の卵が確保できれば良いと思いましょう。もし多くの卵が取れた場合は、全てを孵化させることはせず、10個の卵を儀式して10匹の稚魚を得るのを基本と考えましょう。余った卵は友人などに配り仲間を増やしていきましょう。
 ピートにも様々な種類が有ります。粉状のものや繊維の長いものなど有りますが、始めは繊維の長いものの方が使いやすいでしょう。粉状のものやココヤシの殻を粉砕したものも有りますが、水槽内に良く舞ってしまうことが有ります。これはメダカの種類や各自の好みによって使いやすいものを探していくのが良いでしょう。長い繊維状のもので有れば、後から細かくするのも簡単です。いずれにしても入手したら良く煮ておきます。この煮る作業が大変ですが、煮ていないピートを使用すると、ピートのエキスが出すぎてメダカの合う水質から外れてしまうことも有ります。また煮ていないと上手く沈まなかったりします。水換えやピート交換の度に水質が変化するのはなるべく避けた方が良いでしょう。この点ではココヤシの粉状ピートが水質変動が少なくて良いと思います。100円均一などで圧縮されたブロックなどが売られているので試してみるのも良いでしょう。
4. 休眠保管。
     取り上げたピートに卵が入っているか調べてみましょう。水槽からピートを取り出すときは必ず水換えと同時に行い、水深が低くなってから器ごと回収します。ネットにピートを移し、軽く手で水気を切ります。力一杯水を切らなくても結構です。絞ったピートを新聞紙や白い紙の上に広げて卵を探してみます。透明な卵が見つかれば、そのままピートごと密封できるビニール袋などに入れておきます。もし卵を探しているときに真っ白い卵が見つかったら未受精の卵ですので外しておきましょう。この卵はカビが生えてダメになります。
 袋に入れたピートを保管しましょう。温度が25℃程度になる場所に箱などに入れてしまっておきます。袋には種名、取り上げた日付を書いておきましょう。1ヶ月に一度は袋を開けて卵の様子を確認してみましょう。初めて回収した(産卵した)卵は未受精が多く有り、カビが出ている場合が有ります。カビている卵が有ったら取り出してしまいましょう。あとは孵化予定日を待ちます。卵の状態を観察し、眼ができていれば儀式する日も近いです。楽しみですねっ。
 その他飼育上の質問は、管理人に掲示板やメールで質問されるか、日本卵生メダカ倶楽部(KCJ)のHPにある掲示板に書き込みされてもご相談に乗ります。メダカも沢山の種類が居ます。上記のような導入方法では難しい場合も有ります。まずは飼育される前に相談してみてはいかがでしょう。
お気軽にご質問ください。日本卵生メダカ倶楽部(KCJ) http://kcj.cside.com/

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